株式会社すばる光電子 Subaru Oputo Electonics
オーダーメイドの微細レーザー加工装置開発とシステム構築 ミクロン単位のレーザー加工など、個々のお客様に合わせたオーダーメイドシステムを提案。
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オリジナルレーザー微細加工装置事例
ご相談事例
その1.紫外線硬化樹脂用レーザー微細スポット装置開発秘話

 問い合わせメールの送信元に懐かしいお名前がありました。 当社がレーザ微細装置に取り組むきっかけを与えてくださいましたお客様からの久しぶりのご連絡です。

「市販の紫外線照射装置を購入して樹脂の硬化試験をしているが、スポット径を何とか小さくできないか、なおかつ機械的な制約でレンズ径を数ミリにしてほしい」

との半導体装置メーカーの方からのお話でした。 どうやらファイバータイプの一般的な紫外線光源装置を使っていらっしゃるようです。
比較的お近くの場所ですので、ご挨拶を兼ねて直接お伺いして、お話をお聞きすることになりました。
すばるはこう解決した!
すばるはこう解決した!

一般にファイバーを使用して紫外線を照射している装置の場合では、ファイバーから出てくるレーザー光線が広がってしまい、 このお客様が要求されている<ミクロン単位のスポット径で><わずか数ミリのレンズ径で><焦点距離は非常に長く><しかも短時間で樹脂を硬化させるだけのパワーを有して> 「紫外線照射を行うこと」は非常に困難です。

そこで 「天体望遠鏡の技術を集積している当社」の得意分野の「光学技術」を発揮すること となったのです。天体望遠鏡の技術は基本的には遥かかなたの天体からやってくる微弱な光をいかに精度良く集光させるかと いうことになります。しかも天体物理観測ではさまざまな観測機器に必要な光学系を必要に応じて開発しなければなりません。
世界中の天文学者がそれぞれの観測データを収得するためにさまざまなアイデアを出しています。

たとえば、太陽物理観測に用いるテレセントリック系光学系、あるいは彗星(ほうき星)の淡い尾を短時間で 撮影するためのシュミットカメラ、星の光を分光する大型のグレーティングプレートなどです。  そうしたノウハウを生かして、このような半導体関連メーカーの方々のご要求にお答えできる体制がすばる光電子にはあるのです。

まずとりあえず現在使用中の市販の紫外線スポット照射装置を使用して硬化に必要な紫外線の強度を確認しました。 これにより、ある程度見通しがつきましたので、次に手持ちのレンズセットを用いてミクロン単位のスポット径の照射装置を作りました。 これを用いて樹脂の硬化テストをしたのですが、残念ながらパワーが不足してうまく硬化しません。

「?、計算上は十分な紫外線強度が得られているはずなのだが?? と思いながら、調べていくと、紫外線発生部の高圧水銀ランプの 構造上、光ファイバーから出てくる光束の中心付近の強度が著しく低く、ちょうどドーナッツ状の光強度分布となっていることがわかりました。 このためレンズの構造によっては強度が著しく低下してしまうことがわかりました。 すでにご要望をお聞きしてから時間がたっています。
そこでお客様と相談して、市販の紫外線光源装置では無理なので、別途検討していた「青紫半導体レーザ」を採用することとしたのです。 計算上はある程度十分な強度をマイクロメートル単位の範囲に照射することが可能となりますが、すぐ近くの別の部品に光が当たってはいけないので、 高精度のスポット形状が要求されます。 
青紫色の半導体レーザはまだ市販されてからあまり期間がたっておらず、価格が非常に高価です(1個で○十万円程度)。 
また静電気に敏感で、簡単に静電破壊してしまいますので、取り扱いにも神経を使います。 
実を言いますと、最初の半導体はレンズユニットを半分だけ組み立てたときに試験的に通電してみたのですが、最初はパワーがでていたのに、 数分でパワーが落ちてしまい、最後にはまったく発振しなくなってしまったのです。 後で調べてみるとやはり、静電気のために、半導体が破壊されて いることがわかりました、、(涙) こうしたトラブル続きの後、光学的調整を行いレーザーパワーを測定するときわめて高い効率で紫外線が照射できることがわかりました。 またスポット径も計算どおりで集光度が良いことがわかりました。 クリーンルーム内で装置に組み込み立会いで性能を確認し、無事に次世代の半導体製造装置にお役に立つことのできる光学部品を完成することができたのです。 「来期の予算で設備増加になりますので、さらに継続して開発をお願いいたします。」とお客様よりお話をいただくことができました。

この装置は、光学系はもちろん、レーザーを制御するマイクロコンピューター内蔵の電源装置から全体をコンパクトにまとめた機械部品まで、 すべて超短納期での開発を要求されたのです。

「半導体関連のお客様の工場では、性能はもちろん、納期が極めて重要である」ということを 私たちは、長年半導体関係の光学系の開発にかかわってきたことで非常によく理解しております。
ご相談事例
その2.レーザー微細加工半田付け装置開発秘話

それは、ある日の一本の電話から始まりました。

「熱に弱い基板上に微細な部品を狭ピッチで 精度良くはんだ付けを行いたい。とりあえず市販されているレーザーはんだ付け装置を購入したが思うようなはんだ付けが出来ない。 すばる光電子でこの問題を解決できないか」

との半導体部品製造関連の会社の方からのお話でした。
しかし開発にはわずかな時間しかありません。
新規の0からの開発としては超短納期です。

とりあえず詳しくお話をお伺いすることとなりました。
すばるはこう解決した!
すばるはこう解決した!

一般にファイバーを使用してレーザ光を引き出している方式ではファイバーから出てくるレーザー光線が広がってしまい、 このお客様が要求されている「いくつもの要求仕様を同時に実現すること」は非常に困難です。

そこで 「天体望遠鏡の技術を集積している当社」の得意分野の「光学技術」を発揮すること となったのです。

例によって現在使用中の市販のファイバータイプのレーザはんだ付け装置を利用して要求されるレーザの性能を確認しました。 これにより、ある程度見通しがつきましたので、次に別の小型レーザを用いて試作機を作りました。これを用いてはんだ付けテストを したのですが、残念ながらパワーが不足してうまくつきません。

そこで並行して設計していた別の案の装置を突貫工事で仕上げたのです。  それを工場のクリーンルームに持ち込みスイッチをONにします。多くの技術者が見守る中、見事にはんだ付けが出来ました。 「なんとか製品のライン立ち上げに間に合います。」との関係者の方々のお言葉をお聞きして充実した帰路についたのです。

この装置も、光学系やレーザを制御するマイクロコンピューター内蔵の電源装置、全体の機械部品まで、すべて超短納期での開発を要求されたのです。

ご相談事例
その3.レーザー微細溶接装置 開発秘話

「どうしてもうまくいかないのですが、、、」
あるセンサーメーカーさんのレーザー溶接に関するご相談です。

現在使用しているレーザー溶接装置を使ってより微細なセンサーを新たに製造することになったのですが、従来使用しているものでは どうしても目的の溶接ができないのです。

溶接すべき対象が他の部品の奥のほうにあり、レーザー光がそこに届くまでに他の部分に光があたり、その部分までが溶けてしまう のです。

従来の製品では別の金属をそこに当てて熱を奪い、溶ける量が最小になるように工夫して作業を行っていたのですが、部品がより 微細になってきて、 そのやりかたでは目的の部分が溶けるよりも周囲が多く溶けてしまい、NGとなってしまいます。

従来の光学系では、どうしてもうまくいきません。
すばるはこう解決した!
すばるはこう解決した!

とりあえず現在の装置のレーザーの出力を調べてみると5J出ていました。

「部品がこの大きさまで小さくなったことを考えると、出力は1J以下でしょうね」とお話して、 レーザーをその値にセットし、スイッチを押してみるとパチッと音がしてレーザーが発射されますが、やはり肝心な部分は溶けずに 周囲が溶けるだけです。

使われている光学系を見てみますと設計に問題がありそうです。「これは大きな部品には適していますが、このように 0.1mm以下の部品に対しては使えませんね」とお話いたしました。

「まったく別の高精度の光学系を作ることと、必要な光学系を追加してやる必要があります。」とお話しました。
「いつごろまでにできますか?」というご質問です。
すでにこのセンサーの要求はかなり高くなっており、製造ラインからの要求は急を要しています。 すぐに光学系の設計とそれを収める機械設計に着手し、加工はいつも無理を聞いていただいている板橋区の加工屋さんに依頼します。 「なんとか3日で仕上げていただけないでしょうか?」と無理を承知のお願いです。 「それは無理ですね。かんべんしてください、」とオヤジサン。 

世界でもっとも優秀な町工場のおかげで日本の今日の繁栄が作られているのですが、そのことを知っていて感謝している方が どれくらいいるのでしょうか? 「3日はむりでも5日でお願いします」と無理強いします。 納期をつめることは容易なこと ではありません。場合によっては家族の犠牲の上に成り立っている場合がほとんどです。
それでも仕事のスケジュールを調整していただき、それに伴なう費用の出費を補償し、何とか徹夜で仕上げてもらうことにしました。 その方は一度引き受けた仕事はきちんと仕上げてくれるので、安心です。
レンズは一番重要な集光レンズの在庫があることを確認して、そのレンズにあわせて別のレンズを手配します。 レンズはその性質上、機械加工と異なりひとつだけ作るということは容易にいきません。 ただし当社では緊急の場合一枚だけ 短納期で作ることも可能ですが、、、

こうして特急で試作機を作り上げお客様と溶接の試験をします。  
「パワーはどのくらいにしますか?」という質問に、「そうですね従来の使用エネルギーから計算すると0.7Jですね。」 ということで0.7Jで一回目を発射しました。 バチッという大きな音がしてレーザー光線が発射されます。 しかし部品が見えなくなってしまいました??
よく見てみると溶接すべき目的の部品が完全に溶けて無くなっています。

レンズの精度が格段に良いのでエネルギーが集中しすぎたのです。エネルギー量を 調整すると見事に溶接ができました。しかも従来必要だった保護用の金属も不要になりました。
補助的に追加した特殊光学系の威力も絶大です。
わずか数十マイクロメートルの細い金属部品も正確に簡単に溶接することができます。

お客様は満足して羽田空港から最終の便で帰られました。 こちらも充実感を味わう瞬間です。

ご相談事例
その4.紫外線顕微鏡 開発秘話

最近の高機能の携帯電話などに使われている小型の部品の一部に1ミクロンより微細な構造を持つものがあります。 これを製造する現場ではこの部分の品質管理が大問題になっていました。  この部品の幅を全数検査しなければなりません。

これを行うためには電子顕微鏡などでは時間がかかりすぎて不可能です。光学顕微鏡でなければ使えません。 しかし光学顕微鏡は光の波長以下のものを見ることが極めて困難です。より細かいものを見たいときには使用する 光の波長を短くします。この場合には非常に波長の短い360ナノメートル程度の紫外線を使わなくてはなりません。

この紫外線は波長が短すぎて目には見えません。また従来の顕微鏡ではレンズ、ミラー、プリズムなどが全て光学的な性能が 不十分で全部の部品を作り直さなければなりません。
すばるはこう解決した!
すばるはこう解決した!

現存する顕微鏡用の光学部品はこうした紫外線の要求に適合するものはわずかしかありません。いつものことですがお客様の 要求する納期は短いものです。全てを新たに作っていては間に合いません。 そこで現存する光学部品を総合して必要な ものを揃え、不足する部品を新規に発注します。

ガラス屋さん、研磨屋さん、コーティング屋さんなど総動員して目的のものを作り上げます。  また紫外光は目で見えませんので、当然CCDなどの電子部品も必要になります。

しかしこの波長を見ることのできる高解像度のCCDカメラが当時はまだありませんでした。 しかしアメリカの半導体メーカーが開発中でした。これをあるルートで入手し、使用する こととなったのです。 また既存の光学系の寄せ集めの場合、拡大倍率は 自由に選べませんが、お客様の要求にピッタリと合わすために機械的なノウハウでこの問題を解決します。

これは光学シミュレーションソフトと器械設計を組み合わせて解決します。 この手法は別のお客様の特殊なレーザー観測装置の光学系の開発の時に開発したものです。
これはひとつの光学電子システムの開発のノウハウが、別の装置の開発に利用できるように、 日ごろから心がけている結果なのです。

裏話)一度試作してお客様に使ってみてもらったのですが「ゴーストが出てしまう」というクレームでした。 そこでレンズ配置を検討して短時間で出来る対策方法を探りました。 「彗星の写真観測に使うシュミット カメラにおけるゴーストの発生の経験から考えて、顕微鏡のリレーレンズ系の反射が悪影響を及ぼしている 可能性が一番高い」と直感的に考えましたので、あるレンズを裏返しにして設計をやり直し、レンズの位置 を修正し、さらに絞りを一枚追加して対応しました。 レンズ設計ソフトで一応の検討は出来ますが、 実際に装置に取り付けて見ないと結果は分かりません。  2日後に「OKだよ!」というお客様からの連絡を得てほっとしました(レンズを裏返しにした裏話)。
 
 
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